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モグラはどう成長する?地中生活を支える前脚・鼻・目のしくみ

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地面から顔を出すモグラ。力強い前足が特徴的なイラスト 哺乳類
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モグラは、生まれたときから単独で穴を掘れるわけではありません。巣の中で母親に育てられ、成長後に自分のトンネルで暮らし始めます。日本で身近なアズマモグラでは、春を中心に繁殖し、1回に数頭の子を産むことが野外調査から分かっています。成長後の地中生活を可能にするのは、シャベル形の前脚だけでなく、鼻の触覚、嗅覚、退化しながらも残る視覚を組み合わせた体です。

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巣で育ち、翌年から繁殖へ

アズマモグラ113個体を千葉県で調べた研究では、繁殖可能な雄は2〜5月に見られ、雌は3〜5月に妊娠・授乳などの繁殖状態にありました。確認された妊娠3例の産子数は、4頭が2例、死んだ胚を含む3頭が1例です。歯の摩耗から推定した年齢構成と合わせ、研究者はこの個体群では繁殖が基本的に年1回で、その年に生まれた個体は翌年から繁殖すると考えています。

ただし、これはすべての地域に共通する固定日程ではありません。新潟県の越後平野でアズマモグラとサドモグラを比較した研究では、アズマモグラの妊娠個体が3〜10月に見つかり、年2回繁殖した個体も報告されました。繁殖時期や回数には、地域の気候、餌、他種との競争などが関係する可能性があります。地下の巣内を継続観察するのは難しく、出産後の日ごとの成長には未解明な点も残ります。

前脚は土を掘る「回転式のシャベル」

地中性のモグラは、外向きについた幅広い前足と強い爪で土を左右へ押し分けます。特に上腕骨は太く独特な形で、筋肉を付ける面が広く、腕を回転させる掘り方に適しています。2024年にアズマモグラ、コウベモグラ、ヒミズの骨を比較した研究では、モグラの上腕骨内の血管管が骨壁に沿って周方向に並ぶ傾向が示されました。研究者らは、掘削時のねじれ荷重への適応を反映すると解釈しています。

体は円筒形で、毛は一定方向へ寝にくいため、狭い坑道を前進・後退しやすい形です。掘り出された土が地表に押し上げられると「モグラ塚」になります。モグラ塚があるからといって、そこが巣の真上とは限りません。

暗闇では鼻とひげが周囲を探る

多くのモグラの鼻先には「アイマー器官」と呼ばれる微小な触覚器が並びます。神経を調べた研究では、軽い接触を伝える神経と痛みに関係する神経が異なる終末へつながることが示されました。鼻先とひげから得る触覚は、暗い坑道で壁や獲物を探る重要な手がかりです。嗅覚も使い、主にミミズや昆虫の幼虫などの小動物を食べます。

よくある誤解

「モグラは完全に目が見えない」わけではない

目は小さく、像を細かく見る能力は発達していませんが、完全に機能を失ったとはいえません。ヨーロッパモグラを使った実験では明暗の識別を学習し、点滅光から退く反応も確認されました。別の網膜研究では桿体と錐体が確認され、光を感じる仕組みが残ることが示されています。ただし、この結果を日本の全種へそのまま当てはめることはできません。

「作物の根を主食にする」わけではない

モグラは食虫性で、主な餌は土中のミミズや昆虫類です。穴掘りで根を傷つけたり、土を盛り上げたりするため農地では問題になることがありますが、根を食べるネズミ類などの被害までモグラの仕業と判断するのは正確ではありません。

アズマモグラの基本情報

標準和名 アズマモグラ
学名 Mogera imaizumii
分類 真無盲腸目・モグラ科
主な分布 本州東部を中心とする日本
主な食べ物 ミミズ、昆虫の幼虫など
繁殖 春中心の個体群があるが、地域差が報告されている
地中適応 幅広い前足、特殊化した上腕骨、敏感な鼻先、円筒形の体

まとめ

アズマモグラは巣内で母親に育てられ、野外調査では翌年から繁殖に加わると考えられています。成体は、ねじれに耐える上腕骨と幅広い前足で土を掘り、鼻先の触覚や嗅覚で地中を探ります。目は小さくても「完全な盲目」とは限らず、少なくともヨーロッパモグラでは光を感じる機能が実験で確かめられています。ひと口にモグラといっても種や地域で繁殖や体の特徴は異なるため、観察結果の範囲を区別して理解することが大切です。

参考資料

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