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アリの首は体重5000倍に耐える?

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昆虫・クモ形類
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アリの首の関節は、体重の最大5000倍もの力に耐えられることが、遠心力を使った実験で示されています。動画では、この驚異的な強度に加えて、あごを時速200キロ超で閉じるアギトアリや、葉でキノコを栽培するハキリアリの農業を紹介しました。この記事では、動画では触れなかった、アリが道に迷わず巣へ帰るためのナビゲーション能力の秘密や、世界規模に広がる巨大コロニーの研究について詳しく紹介します。

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しくみ: バネのような顎と力を分散させる首

オハイオ州立大学の研究チームは、遠心力を使った実験装置でアメリカに生息するアリ(Formica exsectoides)の首に段階的に負荷をかけ、関節が壊れる限界を調べました。体重の350倍程度から関節が伸び始め、最終的に体重の3400〜5000倍に達するまで壊れなかったことが確認されています。

一方、アギトアリ(Odontomachus属)の高速なあごは、筋肉の力をいったんバネのような構造にため込み、一気に解放する仕組みによって実現されているとされます。あごが閉じる速度は時速78〜145マイル(約126〜233キロ)、動作にかかる時間はわずか0.13ミリ秒で、動物が自分の筋肉だけで繰り出す捕食用の一撃としては最速級の記録です。この一撃は獲物を仕留めるだけでなく、地面に打ちつけて自分の体を跳ね上げ、外敵から素早く離れる「エスケープジャンプ」にも使われることが研究で確認されています。

研究で分かったこと: アリの”歩数計”

アリは優れた歩数計のような仕組みを持っていることが研究で示されています。スイス・チューリッヒ大学のルドルフ・ヴェーナー(Rolf Wehner)らのチームは、サハラ砂漠に生息するアリ(Cataglyphis fortis)の脚を人工的に伸ばしたり短くしたりして歩かせる実験を行いました。脚を伸ばして歩幅が大きくなったアリは巣までの距離を実際より遠く見積もり、逆に脚を短くしたアリは近く見積もる結果になりました。これは、アリが歩いた歩数を積み重ねることで巣からの距離を測っていることを示す証拠とされ、2006年にScience誌で発表されています。太陽の位置を基準にした方角の把握と組み合わせることで、迷わず巣に戻れると考えられています。

また、ハキリアリのように農業を行う種がいる一方、世界中に広がったアルゼンチンアリ(Linepithema humile)のように巨大な「スーパーコロニー」を作る種も知られています。南欧沿岸の6000キロ以上にわたる範囲を調べた研究では、調査した33地点のうち30地点が同じ一つのスーパーコロニーに属しており、通常なら縄張り争いをするはずの別の巣同士のアリが互いに攻撃せず共存していることが確認されました。

よくある誤解

  • アリは全種が同じ生活をしている? 世界に1万種以上が知られており、怪力自慢の種、高速のあごを持つ種、農業を行う種など生態は種ごとに大きく異なります。今回紹介した能力もそれぞれ別の種の特徴で、すべてのアリが同じ能力を持つわけではありません。
  • 働きアリはみんな同じ仕事をしている? コロニー内では役割分担があり、エサ探し・幼虫の世話・巣の維持・防衛など、個体によって主に担う仕事が異なることが観察されています。
  • アリは常にフェロモンの道しるべで移動している? 地面が高温になる砂漠に暮らす種ではフェロモンが持続しにくく、道しるべフェロモンよりも歩数と太陽の位置を頼りに移動する種もいます。

アリの基本情報

分類 ハチ目アリ科。ハチに近縁で、翅を持たず地上生活に適応した昆虫とされる
既知の種数 世界で1万種以上、特に熱帯地域に集中
社会構造 女王・翅のないメスの働きアリ・(時期により)オスからなるコロニー
首の関節の耐荷重 体重の3400〜5000倍(オハイオ州立大学の研究、対象種はアメリカのアリ)
ハキリアリの運搬力 体重の約50倍の葉を運ぶ
アギトアリのあごの速度 時速126〜233キロ、動作時間0.13ミリ秒
女王の寿命記録 飼育下で29年という記録があり、昆虫の中でも長寿とされる

まとめ

小さな体のアリですが、首の関節の強さ、あごの速度、菌類を育てる農業、迷わず巣に戻るナビゲーション能力など、それぞれ専門の研究チームが実験と観察を重ねて明らかにしてきた驚くべき仕組みを備えています。次にアリを見かけたときは、その小さな体に詰まった能力を思い出してみてください。

参考資料

もっと知りたい方へ

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