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ナマケモノは一日何時間眠る?野生の睡眠とゆっくり動く理由

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哺乳類
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ナマケモノは「一日中眠る動物」と思われがちですが、少なくとも野生のミユビナマケモノを脳波で調べた研究では、睡眠は1日およそ9〜10時間でした。枝でじっとしている時間のすべてが睡眠とは限りません。動きがゆっくりなのは怠けているからではなく、栄養の少ない葉を中心に利用し、消費エネルギーを抑えて暮らす生態と深く関係しています。

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「動かない」と「眠っている」は別

樹上のナマケモノは、長い爪で枝につかまり、採食や休息、毛づくろいなどをゆっくり行います。遠くから眺めるだけでは、目を閉じた休息と睡眠を見分けるのは簡単ではありません。そのため、行動観察や飼育下の記録だけから「何時間眠る」と決めると、静かに休んでいる時間まで睡眠に数えてしまう可能性があります。

睡眠をより確かに判定するには、脳波(EEG)や筋電図(EMG)を記録し、覚醒・ノンレム睡眠・レム睡眠を区別する方法が役立ちます。ただし、測定装置を付けられる個体数には限りがあり、得られた数字は調べた種、年齢、環境によって変わり得ます。

野生個体の脳波を測った研究

2008年の研究では、パナマの熱帯林に暮らす褐色ノドミユビナマケモノ3頭に小型記録装置を装着しました。平均睡眠時間は1日9.63時間で、過去に飼育下で報告された値より6時間以上短い結果でした。この研究が直接示したのは、調査した野生個体では「20時間近く眠る」というイメージが当てはまらなかったことです。すべてのナマケモノが必ず9.63時間眠る、という意味ではありません。

2014年の後続研究は、捕食者のいる本土の褐色ノドミユビナマケモノ9頭と、捕食者のいない島のピグミーミユビナマケモノ6頭を比較しました。両種とも睡眠は1日9〜10時間でしたが、本土の個体は夜に眠る傾向があり、島の個体には昼夜の明瞭な偏りが見られませんでした。研究者は捕食圧が睡眠量ではなく睡眠の時間帯に影響した可能性を論じていますが、脳波の違いには未解明の点も残るとしています。

なぜあれほどゆっくり動くのか

主な理由は睡眠時間ではなく、エネルギー収支です。葉は利用できるエネルギーが少なく、消化にも時間がかかります。スミソニアン国立動物園は、ナマケモノの代謝率を同じ体重から予想される値の約40〜45%と説明しています。2018年にノドチャミユビナマケモノ8頭を調べた研究でも、安定した温度域での安静時代謝率は一般的な哺乳類の予測値より平均40%低く、冬眠しない哺乳類の中でも非常に低い水準でした。

同じ研究では体温が外気温とともに変化し、個体ごとの測定範囲は平均約2℃でした。姿勢も温度に応じて変わり、高温時には体を広げる行動が増えました。ゆっくりした移動、小さな行動圏、変動する体温は、限られたエネルギーを節約する生活の一部と考えられます。「眠いから遅い」のではなく、低エネルギーの食物で暮らすための適応と見る方が実態に近いでしょう。

よくある誤解

  • 一日20時間眠る? 飼育条件や測定法による報告を全個体に当てはめることはできません。野生のミユビナマケモノの脳波研究では9〜10時間でした。
  • いつも夜行性? 活動時刻は種や環境で変わります。野生2種の比較でも昼夜の傾向は同じではありませんでした。
  • じっとしていれば睡眠? 休息と睡眠は別です。正確な判定には脳波などの生理記録が必要です。
  • フタユビとミユビは指の数だけが違う? 名称は前肢の指の数に由来し、後肢はいずれも3本です。現生種は別々の2科に分かれます。

ナマケモノの基本情報

分類 哺乳綱・有毛目。現生種はフタユビナマケモノ科とミユビナマケモノ科
現生種 6種(フタユビ2種、ミユビ4種)
分布 中央アメリカから南アメリカの熱帯林
主な食物 葉、新芽、果実など。割合は種によって異なる
生活場所 多くの時間を樹上で過ごす
睡眠の研究例 野生のミユビナマケモノで1日約9〜10時間

まとめ

ナマケモノは長時間じっとしていますが、それをすべて睡眠とみなすことはできません。野生個体を脳波で測った研究が示した睡眠時間は約9〜10時間です。ゆっくりした動きは、葉を中心とする食生活、遅い消化、低い代謝率と結びついた省エネルギー戦略です。研究対象は限られているため、種や環境による違いを残したまま理解することが大切です。

参考資料

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