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目に約3000個の「歯」?ジンベイザメの眼を守る驚きの仕組み

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魚類・水生生物
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その目、むき出しで無防備だと思っていませんか? 世界最大の魚ジンベイザメの眼球表面には、「歯」のような微小構造が約3000個も並んでいます。ただし、これは獲物をかむ口の歯ではありません。サメの皮膚を覆う歯状の鱗「皮歯(ひし)」が、眼の表面にまで発達したものです。

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約3000個の正体は「眼の皮歯」

沖縄美ら島財団などの研究チームは2020年、ジンベイザメの眼球をCTで調べ、虹彩の周囲を含む露出部が多数の皮歯で覆われていることを報告しました。調査個体の片眼では約2900個が数えられたと紹介されています。

皮歯は、歯と同じように硬い組織を持つサメ特有の鱗です。とはいえ「眼球から歯が生えている」と表現すると、口の歯と混同しやすくなります。正確には、ジンベイザメの眼には歯に似た微小な鱗が密集しているのです。

眼の皮歯は、体表の皮歯とも形が違います。研究では、中央の隆起から枝分かれする筋を持ち、上から見るとカシの葉のような形だと記載されました。その形は摩擦や擦り傷への耐性に向くタイプと似ており、研究者は、浮遊物などとの接触による機械的な損傷を減らす可能性を示しています。これは有力な解釈ですが、機能を直接実験して確定したわけではありません。

眼球そのものを引っ込める二重の防御

守りは皮歯だけではありません。飼育個体を超音波で観察した同じ研究では、物体が近づくと1秒未満で眼球を眼窩へ引き込み、下向きに回転させる様子が確認されました。測定した2個体の移動距離は2.8センチと3.3センチで、どちらも眼球直径のおよそ半分です。

眼が小さいため、かつては視覚への依存度が低いとも考えられてきました。しかし、皮歯と眼球収納という二重の防御は、少なくとも近距離の環境把握に視覚が重要かもしれないことを示します。論文もこの点を提案する一方、視野、視力、色覚などは今後の研究課題だとしています。

小さな歯ではなく、巨大な「ろ過装置」で食べる

口の中にも数百列の小さな歯がありますが、食事の主役ではありません。ジンベイザメは大きな口から海水と一緒にプランクトン、小魚、魚卵などを取り込み、鰓にある網目状のフィルターパッドで食物を分けます。

泳ぎながら水を入れるラムろ過のほか、その場で口を開閉して水を吸い込む吸引摂餌も行います。研究では、フィルターを支える軟骨板が水を鰓へ導く構造も報告されています。表面に獲物が詰まったときには、逆向きに水を流す「せき」のような動きで掃除すると考えられています。巨体だから大型動物をかみ切る、というイメージとは正反対の食べ方です。

白い斑点は個体ごとの「指紋」

青灰色の背に並ぶ白い斑点も、見た目だけの特徴ではありません。鰓の後ろ、胸びれの上にある模様は個体ごとに異なるため、写真から同じ個体を見分けられます。

Wildbook for Whale Sharks(旧ECOCEAN写真識別ライブラリー)では、研究者だけでなくダイバーや旅行者の写真も活用し、模様認識によって目撃個体の照合、移動、生息数の調査につなげています。体に標識を付けなくても追跡できる、市民科学の代表例です。

わかっていること、まだわからないこと

項目 現在の知見
眼の表面 多数の皮歯が覆う。調査個体の片眼では約2900個
眼の防御 眼球を直径の約半分まで引っ込める動きが確認された
食べ方 口の歯でかむのではなく、鰓のフィルターパッドで小さな生物をろ過する
寿命 放射性炭素を使った研究で50歳までの個体を検証。100年以上という推定は未確定
保全状況 IUCNレッドリストで絶滅危惧(EN)。漁業、混獲、船舶衝突などが脅威

まとめ

「目に約3000個の歯」という話の正体は、眼球を覆う約2900個の歯状の鱗です。さらに眼球を素早く引っ込める仕組みまで備えています。一方、巨大な口の中の歯は食事の主役ではなく、微小な生物をフィルターでこし取ります。印象的な数字の奥には、巨体で穏やかなろ過食を続けるための、精巧な体のつくりが隠されています。

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