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モルフォチョウの青い光彩はなぜ生まれる?鱗粉がつくる構造色の仕組み

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翅を大きく広げたモルフォチョウ。鮮やかな輝きが特徴的なイラスト 昆虫・クモ形類
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モルフォチョウの翅を走る金属のような青い輝きは、青い色素を塗ったような色ではありません。翅を覆う小さな鱗粉の微細構造が光を選び、青い波長を強く反射する「構造色」です。ただし、その仕組みは単純な鏡や一枚の薄膜ではなく、鱗粉に並ぶ棚状の層、層どうしのわずかなずれ、鱗粉の重なり、下にある色素などが一緒に働いた結果だと考えられています。

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青色をつくるのは翅ではなく、表面の鱗粉

チョウの翅は膜状ですが、その表面には屋根瓦のように鱗粉が重なっています。モルフォチョウの青い鱗粉を拡大すると、長い「隆起(リッジ)」が走り、その側面には薄い板が何段も張り出した、樹木や棚に似た構造が見えます。大きさは可視光の波長に近いサブマイクロメートル領域です。

光がこの層に当たると、複数の面で反射した光の波が重なります。青付近の波長は互いを強めやすく、それ以外は弱まりやすいため、鮮やかな青が目に届きます。これは光を吸収して残った波長を見せる色素色とは異なる仕組みです。発光しているわけでもなく、外からの光がなければ輝きません。

干渉だけでは説明できない「広く見える青」

規則正しい多層膜だけなら、見る角度が変わるにつれて反射する波長も大きく変わり、虹色に移るはずです。しかし多くのモルフォチョウは、輝きの強さが変わっても比較的広い角度で青く見えます。

木下修一氏らが4種を調べた研究では、棚状の板が分かれていることと、その高さが完全にはそろっていないことが重要だと示されました。周期的な層による干渉で青を選びつつ、微細な不規則さと回折によって反射光が広がる、という説明です。また、鱗粉の下にある色素は余分な光を吸収し、青のコントラストを高めます。したがって「青色素がない」はおおむね正しくても、「色素はまったく関係しない」と言い切るのは正確ではありません。

16種の比較で見えた、種ごとに違う光学設計

Giraldo氏らはモルフォチョウ16種について、鱗粉の形、反射スペクトル、光が散る方向を比較しました。その結果、上面の多層構造だけでなく、上層・下層の鱗粉の下面が薄膜反射体として働く例も確認されました。重なる鱗粉が色素を持つか、表面が波打つかといった違いも発色に関わり、属全体を一つの構造だけで説明できないことが分かります。

青い閃光にはどんな役割があるのか

翅の表は目立つ青、裏は褐色という種が多く、飛翔中には青い閃光が現れては消えます。2024年に熱帯林で行われた野外実験では、モルフォチョウの模型を用い、この点滅する配色が鳥による捕食への対抗策になり得るかが検討されました。青と褐色の切り替わりが追跡を難しくする可能性はありますが、モルフォチョウの青が進化した理由を捕食回避だけに決めることはできません。種や雌雄による色の違いもあり、仲間への信号や性選択など複数の仮説が研究されています。

構造色と色素色の違い

比べる点 モルフォチョウの構造色 一般的な色素色
色の生まれ方 微細構造による干渉・回折・散乱 分子が特定の波長を吸収
角度の影響 輝きや色調が変わりやすい 比較的変わりにくい
青い部分の主役 鱗粉の立体構造 色素分子
色素の補助 背景光を吸収し青を際立たせる場合がある 色そのものをつくる

モルフォチョウの基本情報

分類 チョウ目・タテハチョウ科・モルフォ属(Morpho)
主な分布 中南米の熱帯地域
翅表 種や雌雄により、青、白、褐色などさまざま
翅裏 褐色系が多く、眼状紋を持つ種もいる
青の主な仕組み 鱗粉のナノ・微細構造による構造色

まとめ

モルフォチョウの青は、鱗粉の多層構造が特定の波長を強め、構造のずれや鱗粉の重なりが光の広がりを調整することで生まれます。さらに、薄膜として働く部分や背景の色素も発色を支えます。見る角度で輝きが動くのは、色が物質だけでなく「光と構造の関係」から生まれている証拠です。一方、その青が自然界で果たす役割には未解明な点が残り、捕食回避や個体間の信号などを切り分ける研究が続いています。

参考資料

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