PR
スポンサーリンク
スポンサーリンク

ヒトデの腕はどう再生する?傷の修復から元の形に戻るまで

スポンサーリンク
砂地の海底で五本の腕を広げて休むヒトデのイラスト 魚類・水生生物
スポンサーリンク
スポンサーリンク

ヒトデは、捕食や事故で失った腕を再生できることで知られています。ただし、切れた腕が必ず1匹のヒトデになるわけではありません。多くの種では、残った本体が腕を作り直すことと、切り離された腕から体全体ができることは別の現象です。後者には腕とともに中央盤の一部が必要な場合が多く、中央盤なしでも再生できるのはリンキア属など一部のヒトデです。

腕の再生も、傷口から完成した腕が一気に生えるわけではありません。まず傷を閉じ、表面を覆い、その後に神経、水管系、骨片、管足などを位置に合わせて作り直します。再生方法や速さは種、失った範囲、水温、栄養状態などで変わります。

スポンサーリンク

腕が再生するまでに起きること

腕先を切除したヒトデを顕微鏡で追った研究では、最初に切断部が収縮して傷口を小さくし、周囲の表皮細胞が移動して薄い「創傷表皮」を作りました。その下では傷んだ組織の分解と除去が進み、やがて複数の組織で細胞周期が活発になります。新しい腕先が形づくられると、放射水管、放射神経、体腔などが伸び、先端の触手や眼点を含む感覚器も再構築されます。

このときの細胞の使い方は、すべてのヒトデで同じとは限りません。Leptasterias hexactis の研究では、未分化細胞が密集した典型的な「芽体」は確認されず、表皮、水管、真皮などに散らばる分化済みの細胞が細胞周期へ入りました。そのため研究者は、既存組織の配置換えを伴うモルファラクシスに近い過程だと説明しています。一方、Archaster typicus では創傷表皮の下に芽体様の細胞集団が観察されました。「ヒトデは幹細胞の塊だけで再生する」と単純化はできません。

神経や管足も作り直される

ヨーロッパヒトデ(Asterias rubens)を調べた研究では、創傷表皮ができた後、放射神経索、体腔上皮、水管系の上皮、形成中の管足などで細胞周期の活動が見つかりました。神経ペプチドを持つ神経線維も、初期の傷の修復後に再生部へ伸びていました。ただし、その神経細胞がどの細胞から生じるかまでは確定していません。観察で直接確認された細胞増殖と、細胞の由来についての仮説は分けて考える必要があります。

「腕一本から1匹になる」は種類による

多くのヒトデでは、切断された腕が個体全体を再生するには中央盤の一部が付いている必要があります。これに対し、Linckia guildingii を用いた実験では、中央盤を含まない腕の断片にも再生能力があり、断片の長さや切り方によって結果が変わることが調べられました。このような個体全体の再生は、一般的な腕の修復より条件が厳しく、全種に当てはめられる能力ではありません。

また、再生は無料の能力でもありません。腕を失えば、それまで腕に投じた組織を失ううえ、移動や採食が不利になる場合があります。新しい組織、とくにタンパク質を作るには栄養とエネルギーが必要です。再生中の個体と無傷の個体を比べるときは、傷そのものの影響、採食量の低下、再生へ回すエネルギーを区別しなければならないと指摘されています。

ヒトデの再生の基本情報

疑問 現在わかっていること
本体は腕を再生できる? 多くの種で可能。ただし損傷の大きさや環境で成否・速度が変わる
腕だけで1匹になる? 多くの種では中央盤の一部が必要。中央盤なしで可能な種もいる
何を作り直す? 表皮、結合組織、骨片、筋肉、神経、水管系、管足、腕先の感覚器など
体への負担は? 組織を作るエネルギーに加え、腕の喪失による採食・移動への影響もある

まとめ

ヒトデの腕の再生は、傷口の収縮、再上皮化、傷んだ組織の除去、細胞増殖、各組織の再配置と分化が連続する過程です。どの細胞が中心となるか、芽体様構造を作るか、切れた腕から個体全体を再生できるかは種によって異なります。高い再生力は「どんな断片からでも元通りになる」という能力ではなく、条件のそろったときに複雑な体の構造を段階的に組み直す仕組みです。

参考資料

もっと知りたい方へ

本ページはAmazonアソシエイト・プログラムの参加者として、適格販売により収入を得ています。

タイトルとURLをコピーしました