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テントウムシの星の数は年齢と無関係|模様の遺伝と「益虫」の意外な違い

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昆虫・クモ形類
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テントウムシの背中の星を数えても、年齢は分かりません。ナナホシテントウの七つの星は種類の特徴で、七歳という意味ではありません。一方、ナミテントウには同じ種でも異なる模様があります。「年齢と無関係」は正しくても、「どの種類も星の数が一律に決まる」と考えると、見落としが生まれます。

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星があるのは背中を覆う硬い翅

星の並ぶ部分は、上翅と呼ばれる硬い前翅です。ナナホシテントウは赤い上翅の黒い七紋が目印。ただし紋の大きさには違いがあり、一部がつながることもあります。ナミテントウには黒地に赤い紋、赤い地に黒い紋などがあり、紋のない個体もいます。模様だけを見て別種と決めつけることはできません。[1]

また、「生まれたときから成虫と同じ星が見える」わけでもありません。卵、幼虫、蛹を経て成虫になる昆虫だからです。千葉県立中央博物館の観察記録では、羽化直後のナナホシテントウは翅の色も黒紋も薄い状態でした。羽化後に模様がはっきりする変化と、年を取るたび星が増えるという話は区別しましょう。[2]

同じ種で模様が違う理由を調べた研究

2018年の安藤俊哉さんらの研究は、ナミテントウの模様に「パニア(pannier)」という遺伝子が重要だと示しました。主要な四つの模様の型でこの遺伝子の働きを抑えると、上翅の黒い部分が失われ、赤い部分に置き換わりました。単に模様と遺伝子を見比べただけでなく、働きを変える実験で関係を確かめた点が重要です。[3]

蛹の時期にパニアが働く場所は、のちに黒くなる領域に対応します。遺伝子の働く範囲の違いが、模様の違いにつながると考えられます。ただし、この研究だけで、まれな型も含む全模様の細部が解明されたわけではありません。星は年齢の記録ではなく、発生と遺伝の仕組みが表れたものなのです。[3]

目立つ色と黄色い液は身を守る手段

赤と黒などの目立つ配色は、捕食者に食べにくさを知らせる警告色として働きます。ナナホシテントウなどが刺激を受けると脚の関節から出す黄色い液も、防御に関わります。これは「反射出血」と呼ばれ、液は昆虫の体内を巡る血リンパです。人の赤い血とは見た目が違いますが、血液とは無関係な専用液と説明するのは不正確です。[4][5]

アブラムシを食べる仲間ばかりではない

ナミテントウは幼虫も成虫もアブラムシを食べます。その性質を農業で使う際の課題は、成虫が畑から飛び去ってしまうことでした。農研機構などは飛翔能力の低い個体を繰り返し選抜し、「飛ばないナミテントウ」の系統を育成。施設コマツナでの幼虫の放飼試験では、放さなかった区に比べてアブラムシと被害を抑える結果が紹介されています。羽を切って飛べなくする方法ではありません。[6][7]

ただし、防除効果は作物や放す時期、周囲の環境にも左右されます。野外で見つけた個体を数匹放せば同じ効果が得られる、という意味ではありません。また、菌を食べるキイロテントウや、野菜の葉を食べるニジュウヤホシテントウもいます。「テントウムシならすべて益虫」とは言えないのです。[7][8][9]

観察に役立つ基本情報

テントウムシ科の代表例
項目・種類 特徴
分類 甲虫目テントウムシ科(Coccinellidae)
ナナホシテントウ 黒い七紋。幼虫・成虫とも主にアブラムシを捕食。成虫の出現期はおおむね3〜11月。
ナミテントウ 同種内で模様が多様。幼虫もアブラムシを捕食。
キイロテントウ うどんこ病菌を食べる菌食性の仲間。
ニジュウヤホシテントウ ナスやジャガイモなどを食害する草食性の仲間。

表の出典:[4][6][8][9]。活動時期は種類・地域・気候で変わります。

星の数から、暮らしの観察へ

見つけたテントウムシは、星の数に加えて地色や紋の位置、いた植物、食べていたものも記録してみましょう。同じ場所の個体を写真で比べると、数だけでは捉えられない違いに気づけます。防御液を出させるためにつままず、葉の上での行動をそっと観察するのがおすすめです。

参考資料

  1. 大阪市立自然史博物館「テントウムシの模様についての質問」(2001年)。模様の観察情報を参照。遺伝の解明状況は[3]で補足。
  2. 千葉県立中央博物館「生態園の自然:ナナホシテントウ」(2020年)
  3. Ando et al.(2018)ナミテントウの模様形成とpannier遺伝子の研究、Nature Communications
  4. TAKAO 599 MUSEUM「ナナホシテントウ」
  5. Intraspecific and interspecific comparison of toxicity of ladybirds (Coleoptera: Coccinellidae) with contrasting colouration(2024年)
  6. 農研機構「開発レポート」:飛ばないナミテントウの育成と利用(PDF)
  7. 農研機構「飛ばないナミテントウ利用技術マニュアル(各論)」(PDF)
  8. 福井県農業試験場「拮抗菌および天敵によるキュウリうどんこ病病の生物的防除の試み」(PDF)
  9. コルテバ「ニジュウヤホシテントウ」

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